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【連載】プログラミングで子どもたちの未来をあと押し:第1回

第1回
今こそはじめよう!
プログラミングの授業

東京都の小学校教諭、教育委員会指導主事、小学校校長などを歴任されてきた松田孝さん。
学校現場をはなれた今も、自ら会社をつくり、自治体や民間企業と連携してプログラミング教育の普及に取り組まれています。
この連載では、これまでプログラミングの授業を実践してきた松田孝さんが見てきた「プログラミング教育によって変わる子どもたちの姿」や、元校長だから分かる「学校が抱える課題とその解決策」「大学入学共通テスト『情報Ⅰ』の最新情報」など、役立つ情報が満載!
今からプログラミングの授業をはじめたい先生方やプログラミング教育に関心がある保護者の方、必読です。

松田(まつだ)(たかし)さん

合同会社MAZDA Incredible Lab CEO
小金井市立前原小学校・元校長

東京学芸大学教育学部卒業。上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭、指導主事、指導室長をはじめ、東京都の小学校校長を3校歴任。2019 年3月に辞職、4月に合同会社 MAZDA Incredible Lab を設立。総務省地域情報化アドバイザー、デジタル庁デジタル推進委員としてICTで教育に革命を起こすべく日々奔走。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』『IchigoJamでできるプログラミングの授業』(くもん出版)がある。

プログラミングを通して育む、非認知能力

小学校でプログラミング教育が必修となって、はや4年が過ぎようとしています。この間に全国の学校現場では創意工夫したいくつものプログラミングの授業が実践され、カリキュラムも整備されてきました。授業ではさまざまなプログラミング言語が採用されており、子どもたちにIoTの体感をさせようとセンサーや面白いデバイスを使った授業の報告も数多くなされています。

プログラミングの授業を実践すると、子どもたちの意欲的な学びの姿に数多く出会うことができます。「思い描いた動きをプログラミングする」ために試行錯誤したり、「バグに頭を悩ませながら」諦めることなくそれを探し出したり、ものすごい集中力でアニメーションやゲーム等のプログラムを作成したりします。これら、プログラミングで示す子どもたちの力こそが、新しい社会で必須となる大事な大事な力、いわゆる非認知能力なのです。

プログラミングは単にプログラムするための知識・技能の習得や論理的思考を鍛えるのみならず、現行学習指導要領の大きな柱のひとつである「『学び』に向かう力」を育み、適正な自己評価によってさらにこの力を向上させる極めて有効な場であることを実感しています。

いよいよ大学入学共通テストにプログラミングが出題

そして今、この4年間で積み上げてきた授業実践の成果をもとに、プログラミング教育をさらに充実させていく時がやってきました。

直接のきっかけは、2025年1月に実施される大学入学共通テストに「情報」が入試科目として加わり、その中にプログラミングの問題が出題されることにあります。入試で出題されるプログラミング言語は、「共通テスト手順記述標準言語(DNCL)」というテキスト言語です。

GIGAスクール構想によって、子どもたちのタイピング力が飛躍的に向上した今、小学校段階からテキスト言語によるプログラミング授業を実践して、DNCLのみならずPython(パイソン)JavaScript(ジャバスクリプト)等の言語理解につなげれば、子どもたちのキャリア選択にもアドバンテージを与えることができます。

一人でも多く子どもたちにIchigoJam BASIC(イチゴジャムベーシック)

テキスト言語でのプログラミングは、ビジュアル言語によるそれよりも、コンピュータが表現する0と1の世界観を実感できます。そしてこの実感こそが「実現したい事象を『実現すべき情報の動き』として表現し、それを実際に表現する」という、まさにコンピュータサイエンスの根源的な体験となって、Society5.0から6.0へと爆速に激変する新しい社会を築く科学(学問)への誘いとなるのです。

はたして子どもたちにいきなり、DNCLやPython、JavaScript等によるテキストプログラミングを実践することはハードルが高いものがあります。そこで登場するのがIchigoJam BASIC(イチゴジャムベーシック)という言語なのです。

次回以降、私とIchigoJam BASICとの出会い、なぜIchigoJam BASICなのか、さらにはIchigoJam BASICによる具体的な実践事例やカリキュラム等についてもお話したいと思っています。この連載をきっかけに、みなさまがIchigoJam BASICに触れ、子どもたちと一緒に授業実践に向かっていただければ望外の幸せに存じます。

> 連載第2回へ続く

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