くもん出版だより > 専門家インタビュー

【連載】プログラミングで子どもたちの未来をあと押し:第6回

第6回 大学入学共通テスト「情報Ⅰ」 プログラミング問題(第3問 問2)の分析

東京都の小学校教諭、教育委員会指導主事、小学校校長などを歴任されてきた松田孝さん。学校現場をはなれた今も、自ら会社をつくり、自治体や民間企業と連携してプログラミング教育の普及に取り組まれています。

この連載では、これまでプログラミングの授業を実践してきた松田孝さんが見てきた「プログラミング教育によって変わる子どもたちの姿」や、元校長だから分かる「学校が抱える課題とその解決策」「大学入学共通テスト『情報Ⅰ』の最新情報」など、役立つ情報が満載!

今からプログラミングの授業をはじめたい先生方やプログラミング教育に関心がある保護者の方、必読です。

>連載第5回目を読む

前回の振り返りとプログラムの基本処理

前回の最後に、工芸部員で工芸品作成の割り当て担当者であるK さんが作成したとする「配列Akibiの要素と、部員数が代入された変数buinsuを用いて」次に割り当てる工芸品の担当部員を表示するプログラム(図4)を示しました。

このプログラム表記から、第3問のプログラミング問題で必要となる「プログラムの基本処理とコマンド(命令語)」は以下のようなものであることがわかります。

行番号: (01)〜(07)

配列: Akibi+添字

変数: buinsu、tantou、buin

繰り返し文: 〜から〜まで1ずつ増やしながら繰り返す

条件文: もしキならば、tantou=buin

代入: =

上記の内容と表記方法については、大学入試センターのホームページにある 「令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等」 の概要「情報」のリンクから、「令和7年度大学入学共通テスト 試作問題「情報」の概要」 の「5.共通テスト用プログラム表記の例示」で確認できます。その際に前文として明示されている内容については十分に注意してください。

プログラムの目的:最小値を求める仕組み

このプログラムでは(07)行で「次の工芸品の担当部員」を表示するため、配列Akibiの要素が最小となる要素番号(添字)を求める処理を行っています。つまり、部員1・部員2・部員3の空き日を比較し、最も空き日の少ない部員を担当者として決定する必要があります。

問題のように比較対象が3つであれば、人間が一覧すればすぐに「3」が最小で、その担当が部員2であるとわかります。しかし、これをプログラムで表現するには次のような手順を踏みます。

最小値を求めるプログラム

まず(04)行で各部員の空き日を比較する繰り返し文をプログラムします。次に(05)行で比較のもととなる部員1の空き日と部員2の空き日を比較するのです。もし担当者として設定した部員1((03)行で変数tantouに1が代入してある)の空き日より部員2の空き日が小さければ(06)行で、変数tantouに代入してある1を部員2の要素番号(添字)2で置き換え(代入し)、(04)行に戻ります。

仮に部員1の空き日より部員2の空き日が大きければ、(06)行は実行されずにやはり(04)行に戻るのです。

そして同様の比較を部員3で行うプログラムなのです。

このように考えれば、問題文の(キ)は、①(Akibi=[buin]<Akibi[tantou])となることがわかります。肝は(03)行で変数tantouを設定し、そこに1を代入しておく(tantou=1)ことと比較のもととなる部員1の空き日を(05)行で、Akibi[tantou]と設定するところにあります。

受験者が感じるプログラム表記の違和感と克服法

このようなアルゴリズムを「大学入試センター独自のプログラム表記」で表現することに、多くの受験者が戸惑う可能性があります。

しかし、小学校からテキスト言語を用いたプログラミング経験を積むことで、プログラムの文法や作法に慣れ、このような違和感を解消することができます

なお、このプログラム表記は入試のための独自のものであり、実際の実行環境は存在しません。しかし、もし実行できる環境があれば、試行錯誤を通じてプログラミングの世界観を深く理解することが可能になります。

IchigoJam BASIC でプログラムを実行してみよう!

実は、この入試独自のプログラム表記は、IchigoJam BASIC でほぼ同じ基本処理に置き換えることが可能です。IchigoJam BASIC で作成したプログラムを実際に実行することで、受験者のプログラム理解を深めることが期待できます。

次回は、IchigoJam BASIC でのプログラム実装を紹介し、その基本処理とコマンド(命令語)を解説します。

受験者の皆さんの理解の一助となれば幸いです。

【Edix東京 2025】松田孝氏セミナー開催のお知らせ

東京ビックサイトにて開催されますEdix東京 2025 にて、松田孝氏による特別セミナーを くもん出版ブース にて開催します。

教育関係者の皆さま、ぜひこの機会をお見逃しなく!

開催日時:4月23日(水)

時間:

-11:30~

-14:00~(各回同内容)

会場:Edix東京 くもん出版ブース

▼ 詳細・ご来場登録はこちら

松田(まつだ)(たかし)さん

合同会社MAZDA Incredible Lab CEO
小金井市立前原小学校・元校長

東京学芸大学教育学部卒業。上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭、指導主事、指導室長をはじめ、東京都の小学校校長を3校歴任。2019 年3月に辞職、4月に合同会社 MAZDA Incredible Lab を設立。総務省地域情報化アドバイザー、デジタル庁デジタル推進委員としてICTで教育に革命を起こすべく日々奔走。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』『IchigoJamでできるプログラミングの授業』(くもん出版)がある。